カムイ伝

 

   カムイ伝

「カムイ伝」は、白土三平の作・画による長編時代劇画で1964年12月号〜1971年7月号まで、

月刊漫画「ガロ」に全74話が連載され、多くの少年や大学生の心を熱くし人気を博しました。


内容、江戸時代初期、「武士・百姓・商人・エタ(下人)・非人」という身分制度の下、被差別部落出身の

最下級身分である非人の身の上に生まれ、過酷な差別に苦しめられながらも天性の才能を持って忍者とな

った「カムイ」。

下人の身分に生まれながらも努力の果てに百姓となり、自分の村を平等な社会へと導こうと戦い続ける男

「正助」。

武士として生を受けたが非人の娘と恋に落ち、数奇な運命の果てに浪人となり、世の矛盾と戦う道を選ん

だ「竜之進」の3人が中心となり物語は進んで行きます。

社会制度や権力にぶつかりながら自由を得るため、もがき苦しみ立ち向かって行く様を描いた物語です。


白土三平は幼少時、プロレタリア画家をしていた父の活動により大阪の被差別部落や朝鮮人部落など各地

を転々としたことから、作品は子供のころ育った地域的環境や生活環境、また父親の思想など様々な要因

が大きく影響したようにも思えます。差別や身分制度、登場する主人公達の境遇や構成は白土が目にした

生い立ちに若干起因し構成されているように思えます。子供の頃に見聞きした事が根底にあるのかも知れ

ません。この作品の中で、身分制度が何故あったのか、そしてその階級の非条理を説き本来在るべき社会

制度とは何かを現代社会に問いかけることを一つのテーマとしているのではないでしょうか。


「カムイ伝」を連載するにあたっては、それまで白土の貸本漫画を数多く手掛けた長井勝一の青林堂に、

白土は、新たに「月刊漫画誌」を出版しようと持ちかけましたが、長井には新たな雑誌を立ち上げるほど

の自己資金などありませんでした。

そこで白土は、月刊漫画雑誌「少年」に連載中の「サスケ」の単行本を長井に刊行させ、その利益で雑誌

を立ち上げてはどうかと考えました。問題は「サスケ」の出版権が光文社にあると云うことでした。

白土は光文社の桑田 裕に、出版権を光文社から長井の青林堂に譲れないか相談したところ、桑田はあっ

さりと出版権の譲渡を認めてくれたそうです。その豪傑ぶりに白土は驚き感動したそうです。ちなみに、

丁度この頃の光文社は、カッパ・コミックスを創刊し「鉄腕アトム」がベストセラーになっている頃で、

運営も順調に軌道に乗り、経営状態も良好だったのが幸いしたのかも知れません。

(掲載文は「ウィキペディア」他より一部抜粋)


 

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