黄金孔雀城

 

 

  黄金孔雀城

北村寿夫原作の1960年放送NHK連続ラジオドラマ「黄金孔雀城」を基に、東映が映画化制作した

冒険時代劇で「新諸国物語 黄金孔雀城」第一部〜第三部・完結篇の四部作が作られました。

劇場公開は、第一部1961年3月28日、第二部・第三部1961年4月9日、完結篇1961年4

月18日で連続放映されました。


出演 : 左近/沢村訥升、火打丸/河原崎長一郎、風の左文字/山城新伍、紅菊/吉川博子、白菊/扇

町景子、笛の又四郎/中村竜三郎、そよ風の万太郎/宮崎照男、勘助/坂東吉弥、しのぶ/三原有美子

、桂木/松浦築枝、闇の黒兵衛/富久井一朗、美鈴/朝風みどり、一郎太/島田兵庫、二郎太/牧口徹

、三郎太/若井緑郎、四郎太/船越正雄、五郎太/遠藤重栄、六郎太/春日弘、七郎太/大城泰、八郎

太/神木真寿雄、九郎太/西家正晃、十郎太/大月正太郎、十一郎太/坂東京三郎、源左衛門/有馬宏

治、源太/和崎隆太郎、真文/上津原鮎子、運天王/明石潮、鷹の巣一剣太/藤木錦之助、松永弾正/

柳永二郎、兵藤権太夫/富田仲次郎、唐津の玄九郎/吉田義夫、竜神太郎/楠本健二、たたり姫/永井

三津子、平村杢内/小林重四郎、関弾左衛門/堀正夫、猪切伴五郎/相原昇三郎、阿部定光/浅野光男

、鮫五郎/高桐真、大村武部/片岡半蔵、鏑木将監/南郷京之助、小田上総介/伏見扇太郎、黒冠者/

里見浩太朗。


『新諸国物語』7作品の「新諸国物語 黄金孔雀城」は最後の作品でカラー・シネマスコープでの作品

となってますが、同シリーズの「笛吹童子」や「紅孔雀」ほどのヒット作とはならなかったようです。


主役は、沢村訥升(さわむら とっしょう)と河原崎長一郎で、山城新伍は正義派の盗賊、里見浩太朗

は正義の剣士、伏見扇太郎は関所の青年武将などの役柄で脇役となっています。


沢村訥升(九代目澤村宗十郎)は歌舞伎役者で、弟の沢村精四郎(二代目澤村藤十郎)より2年遅れの

1960年に東映入りし、この作品は翌年に手にした初の主役で当時28歳。東映の映画23作品に出

演し、3年後の1963年に歌舞伎界に復帰しました。弟の沢村精四郎は1964年に復帰。


河原崎長一郎も歌舞伎役者の四代目河原崎長十郎の長男で、この映画は2作品目の出演で当時22歳。

弟には河原崎長一郎よりも先に子役デビューしていた俳優の河原崎次郎・河原崎建三らがいます。


掲載のめんこは上映当時、映画館で子供達に配られためんこだと思われ、5枚続きで1シート(写真)

となっており、「めんこ」・「きりとってつかいましょう」と小さい子供でも分かるようにひらがなで

書いてあります。当時の子供達にとっては思いがけない映画館でのプレゼントに宝物のように思えたか

も知れませんね。


<ストーリー>

◇第一部 今から四百五十年の昔、琉球の島に黄金孔雀城と呼ばれる王城があった。が、平村杢内の裏

切りで妖術師唐津の玄九郎を従える海賊兵藤権太夫に襲われ、一夜にして滅んだ。二十年の歳月が流れ

た。山城の国の代官権太夫は悪代官だったが、息子の左近は正義漢だった。左近は何者ともしれぬ一団

に襲われるが、その放った矢を見て、父の権太夫は顔色を変えた。琉球の矢だったのだ。権太夫は黄金

孔雀城を襲った海賊の首領だった。左近は代官所の若者勘助のすすめで、役人になり不幸な人々を救お

うと都へ上った。彼を恋する白菊と別れて。この頃、代官所に忍び入り、権太夫らの行動をさぐる二人

の怪人物がいた。一人の黒冠者は妹紅菊、乳母のかつら木とともに人恋山に住む正義の剣士だった。

左近は黄金を守って玄九郎と闘った。玄九郎が権太夫の許に帰ってこのことを告げた時、琉球の矢文が

飛来した。矢文の主は、黄金孔雀城の王子の一人、火打丸だった。勘助を追う玄九郎の配下の天狗党と

権太夫らと勘助をかばう火打丸の一隊が死闘を展開した。この時、彼方に無数のタイマツが現われた。


◇第二部 タイマツの正体は、権太夫の応援にかけつけた時の執権松永弾正の軍隊だった。が、火打丸

らは黒冠者の忍術によって危機を脱した。勘助は笛師の父四郎の許を訪ね、笛を貰いうけて都の奉行所

に左近を訪れた。だが左近は丹波に向った後だった。紅菊が黒冠者の愛笛時雨丸の修理を頼みに又四郎

の所に来た。足利将軍の紋章を役人に発見され、又四郎とともに代官所の牢につながれた。時雨丸とは

、権太夫が弾正の命で十五年前に暗殺した足利義季愛用の笛だったのだ。当の黒冠者は乳母のかつら木

から自分の身分を聞かされていた。義季の遺児だったのだ。左近は丹波の山賊を退治したが、首領の玄

九郎が代官所にいることを聞いた。代官所では玄九郎が白菊に妖術をかけていた。白菊は時雨丸ととも

に弾正の屋敷に送られた。代官所に着いた左近は、権太夫が杢内を斬る現場を目撃した。杢内は、左近

が黄金孔雀城の王子の一人であること、左近のもつ孔雀の短刀、火打丸の勾玉、王女の鏡の三つが揃え

ば孔雀城の秘宝の謎が解けると、左近に告げて死んだ。権太夫が玄九郎の妖術を使って左近を襲った。

黒冠者が姿を現わし、左近とともに姿を消した。駈けつけた火打丸に、人恋山にて待つと言い残して。

玄九郎は、妖術師竜神太郎を呼び、火打丸を襲わせた−−。


◇第三部 火打丸以下十三騎は、竜神太郎の妖術によって焼き殺されようとするが、火打丸が孔雀の勾

玉を空にかざすと、焔が消え失せた。この頃、人恋山では黒冠者から紅菊が孔雀の鏡を持っていること

を知らされ、さらに火打丸も同志の一人であることを聞かされ、共に力を合わすよう心に誓った。しか

し、たたりの妖術を受けた紅菊、黒兵衛、又四郎の三人は左近を殺すため人恋山に向っていた。白菊は

東山の別邸で弾正の意に従おうとしていたが聞えてきた笛の音に本心をとり戻した。笛の主は勘助だっ

た。だが悪夢からさめた白菊は、弾正に反抗したため牢に入れられた。左文字は、時雨丸の音がたたり

の術を破ることを知り、勘助を人恋山へ急がせた。しかし、勘助より先に着いた紅菊らは、迎える左近

に向って斬りつけたのだ。空からは玄九郎が天狗党とともに襲いかかった。この時勾玉をかざした火打

丸が駈けつけ危機を脱した。だが紅菊ら三人と左近は、玄九郎らに呪いの島にとじこめられた。この場

に左文字が現われ、時雨丸がたたりの術を破ることを知らせた。左文字はこの後、家に帰って子分の万

太郎としのぶを人恋山に向わせ、さらに弾正の牢に忍び入って白菊を救い出した。途中、玄九郎、たた

り姫に襲われたが、万太郎が通りかかった。風にのった万太郎の叫びに、左文字、黒冠者、火打丸が現

われた。が、権太夫も輩下の軍勢と周囲をとりまいた。一方、呪いの島に閉じこめられた一同は小舟に

のって脱出しようとするが、竜神太郎の妖術によって海が荒れはじめた。


◇完結篇 権太夫の軍勢が襲いかかろうとした時、伝令が駈けつけ弾正の命令を伝えた。権太夫は代官

所に引き上げた。弾正は将軍の兵が謀叛軍鎮圧のため出揃っているのを機に、一気に将軍を倒し、天下

をわが手中に収めんものと権太夫の軍勢を呼び戻したのだ。一方、左近、紅菊らは海岸にうち上げられ

たが、漁師源左衛門一家に助けられた。弾正は将軍の御所を襲撃、一方では玄九郎、竜神太郎、たたり

姫を人恋山に向わせ、黒冠者らを一挙に倒そうと図った。時雨丸の法力に見破られたたり姫は黒冠者に

倒された。たたり姫から左近の宝刀を取り返した一同は山を出発、勘助は時雨丸を吹いて左近らを呼び

寄せようとした。左近らは人恋山に向っていたが、その途中、又四郎が正体不明の軍勢に捕らえられた

。左近は又四郎の救出に向うが、軍勢の大将と対面する。その青年武将は小田上総介だった。上総介は

左近と父四郎の通行を許し、妖術師が一同を狙っていることを教えた。妖術師の正体は、玄九郎と竜神

太郎だったのだ。左近と又四郎は急ぎひき返して、紅菊らの危機を救い、上総介との再会を約して人恋

山へ着き、勘助たちから黒冠者、火打丸の出陣を聞き、都に向って馬を走らせた。火打丸、黒冠者たち

は一挙に弾正、権太夫らを倒さんと、弾正の屋敷を襲撃する。さらに左文字も勘助も、そして上総介の

軍勢も弾正の屋敷に向って急ぎ、最後の決戦の幕はここに切って落された。都の夜空を朱に染めての虚

々実々の決戦が続けられた。最後に黒冠者、左近、火打丸、左文字ら孔雀の秘宝をかざした剣と忍術が

、玄九郎、竜神太郎らを駆使する弾正、権太夫一派の妖術を破ったのはいうまでもない。

(ストーリーgoo映画より)

 

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