三日月童子 「三日月童子」は、北村寿夫原作の冒険時代劇小説を東映が映画製作したもので「笛吹童子」の姉妹編。 劇場公開は、1954年10月12日 第1編「剣雲槍ぶすま」、1954年10月19日 第2編「天馬 空を征く」、1954年10月26日 完結編「万里の魔境」で連続放映され人気を博しました。
しのぶ、千鶴少女時代/松島トモ子、お蝶/藤里まゆみ、ひげの天平/岸井 明、堤婆/千石規子、細川 春武/大泉 滉、五兵衛/高松錦之助、お静/山田光子、加々見大五郎/吉田義夫、奥方/鳳 衣子、名 主幸右衛門/飯田覚三、細川春貞/青柳龍太郎、奥方/湯川洋子、地われの三太/鷹司 襄、むささび冠 者/津村礼司、小役人/藤木錦之助、他。
東映は、すかさず映画「霧の小次郎」として独立させ3部作を劇場公開しました。 そしてこの映画で霧の小次郎と争った三日月童子も3部作の映画として新たに独立させ劇場公開したもの で、ともに大成功を収めました。
心をとらえチャンスを見逃さなかった判断がその後の東映の興行収入を大きく変えることになりました。 この映画の成功により東映は時代劇映画の時流が近い将来くることに自信を深めたのかもしれません。 この2カ月後には、それまで東映時代劇映画は3部作が定番企画だったものを5部作として「紅孔雀」を 連続放映しこれまでにない大ヒットを収め“東映時代劇”の黄金時代幕開けとなります。
◇第1部 笛吹童子や霧の小次郎がまだ世に出ない昔、出雲の山奥に住む玉造り五兵衛に、六助、お蝶の 二子があった。兄妹は代官加々見大五郎の娘千鶴が山賊に襲われたのを助け、幼い三人は仲よしになる。 だが代官は五兵衛の持つ白鳥の球を手に入れようと、却って兄妹が姫に無礼をしたと言いがかりをつけ、 五兵衛を投獄し、兄妹の母を殺して球を奪った。追われたお蝶は谷へ落ち、六助は危い所を黒髪山に住む 提婆の妖術に救われた。それから十年。成長した六助は名も三日月童子と改め、松江に旅立った。そして むささび冠者との妖術勝負に勝った童子は、しゃれこうべの面を持つ黒姫太郎の凄じい術に破れ、つり橋 から落とされる。 ◇第2部 三日月童子は危く助かった。黒姫太郎は松江城主に出世した加々見大五郎の用心棒で、美しい 踊子お蝶を愛していたが、彼女が童子の妹であることは知らなかった。彼女は城内に捕われている五兵衛 を助けてくれと頼む。武者修行の大男ひげの天平と知合った童子は、力を合せて域内に忍びこむ。大五郎 は千鶴を将軍家の馬鹿息子春武にめあわせ、あわよくば将軍家を乗取ろうと企む。千鶴は彼の実子ではな く、棄子を拾って育てたのである。再び太郎の妖術に敗れて童子は捕われたが、千鶴と天平の働きで救い 出される。千鶴が嫁入りに旅立った時、童子と天平は行列を襲って彼女を助けようとするが、太郎は千鶴 とお蝶を抱き、雲に乗って逃げ去った。 ◇第3部 都についた太郎は千鶴を五重塔にかくす。お蝶は千鶴が太郎の妹であることに気づいたが誰に も云わず、母の仇として彼女の命を狙う。大五郎は将軍家から責められ、千鶴の代りに五兵衛を将軍の館 に送った。太郎は千鶴を秘かに将軍家に売りつけようとし用心のため五重塔に火薬をしかけておく。都に ついた童子と天平は塔から彼女を救出そうとするが、太郎に妨げられて果せない。酒によった太郎の隙を 見て、お蝶は千鶴を殺そうと導火線に火をつけてしまう。これを見た童子は妖術で救おうとするが術が利 かず、危機一髪のところを黒髪山から駆けつけた提婆が千鶴と童子を助け、塔はあとかたもなく飛散った 。五兵衛は牢内で白鳥の球を造り上げた。その時、童子は五兵衛を助け出して球を手に入れ、すさまじい 合戦の末、ついに太郎を組伏せた。千鶴が自分の妹であることを知った太郎は後悔し、童子、太郎、千鶴 、お蝶、天平の五人は力を合わせて大五郎を討取る。そして漫遊に出る天平を見送った後、童子と千鶴は 黒髪山へ、太郎とお蝶は出雲の松江へ、それぞれ愛する人と手をとりあって出発する。 (ストーリーgoo映画より) |